ご利用者さまと何を話したらいいのか分からない!
4月に入り、新たに介護の仕事に就かれた方も多いと思います。介護の世界にようこそ!
そしていちばんにぶち当たる壁のひとつがこの悩みなのではないでしょうか。
実際私もそうでしたが、例えばこのように…
- 先輩に「とりあえず話してて」と言われたけど、何をどう話せばいいのか分からない
- 全然知らない高齢者の方と共通の話題でもあればいいけど見当たらない
- とりあえず天気の話をしてみても、全然間が持たない
- 思い切って話してみるけどこっちの話を全然聞いてもらえない
- そもそも人と話すことが苦手
私も入社当初はこんな風に悩んでいて、冷や汗ばかりかいている毎日でした。
でも、『接遇』つまり『おもてなしの心』の置き所のコツさえつかめれば、
何時間でも時間が許す限り話し続けられるようになるんです!
そうなったらもうしめたもの!
- 信頼関係も一発で構築できて
- 職員からも逆に頼られる存在になることができて
- やり甲斐を持って楽しく仕事ができるようになります!
今回はその5つの接遇方法を紹介したいと思います。
ご利用者さまとの関わりが苦手だからと逃げてばかりいては、毎日が辛くなるだけ!
こちらから一歩踏み込んで、信頼を勝ち取れる接遇を身につけましょう!
『長年の接客経験とノウハウ』+『介護の接遇技術』の融合で辿り着いたひとつの境地です。
もっとご利用者さまと深く関わりたい、そう願う愛のある介護士の皆さんの参考になれば幸いです。
まずはきちんと自己紹介をする!
こんなの小学校や保育園でも言われていることで、当たり前でしょう!?と思われるのですが、これを毎回100%やっている介護士を、私はほんの数人しか知りません。
自分がどこの誰だか紹介もなしに心を開いてくれるほど、ご利用者さまも無警戒ではないのです。
そのステップを踏み飛ばすのは、潜在的にご利用者さまを一人の人間として尊重していないことの表れでもあると思います。だから、私は毎回自分の名前を名乗ります。
特に私が勤務している認知症対応型のデイサービスでは、毎回が「初めまして」のようなもの。
自分の名前だけではなかなか覚えてもらえないので、ある時から枕詞をつけるようにしてみました。
自分の出身の村の名前、枕詞だけに仮に「横枕」としておきましょう。

〇〇さんおはようございます!「横枕ののじのじ」です!
これを、毎日毎日、当日ご利用者さま全員に本気でやりました。
その結果、要介護度5のアルツハイマー型認知症の女性ご利用者さまとの実際のやり取りです。



〇〇さんおはようございます!僕の名前はなんでしたっけ?



おはようございます、ん~誰やの~?



〇〇さん、横枕の・・・?



あ~!のじのじさんか!知ってるわ~!
この瞬間はもう…めっちゃくちゃ嬉しかったです!
「横枕の・・・?」と問いかけることで、それに続く言葉が言いやすくなる、という仕掛けです。
皆さんも毎回自分の出身の村名を枕詞に添えての自己紹介をおススメします!
名前を知っている職員と、そうでない職員では、距離感が明らかに変わってきますよ!
生年月日を聞く
皆さんはご利用者さまの年齢を覚えていますでしょうか?なかなか難しいですよね。
だからまずはこのように聞いてみましょう。



〇〇さん、昭和何年生まれなんですか?
認知症状がある程度進んでも、自分の誕生年はほとんどの方が覚えておられます。
もちろん、中には何月何日まで教えて下さることも多いのですが、
重要なのは昭和何年生まれかどうか。
昭和一桁なら⇒90才以上が確定(令和6年4月現在)⇒「凄い!お元気ですね~!」
昭和二桁なら⇒「まだまだお若いですね~!」
大正生まれならもう最高!⇒「え~!もう100才ですね~!」
ほぼほぼこの対応で次の会話につなげることができます!
ご利用者さまにとってはもちろんですが、一人の人間として、自分自身のことを興味深く聞いてくれる人には心を許す傾向があるのです。
そして極めつけはこの一言。



あと30年は生きられますね!
大抵「そんなわけないやろ~」と言われますが、こう言って笑わなかった方はまずいません!
裏ワザとしてポケットに忍ばせておくことをおススメしますよ!
生まれ故郷がどこかを聞く
これも非常に大切なポイントです。先ほど自己紹介のときに自分の出身地を枕詞にして伝えていましたが、
ご利用者さまのふるさとも是非聞いてみましょう!
大抵の場合、自分が勤めている施設の市町村の方ばかりですから、自分自身にとっても馴染みが深いので、
比較的地理的な感覚もつかみやすいのではないでしょうか。
『出身地が同じだと距離感がグッと縮まる』
これは男女の恋愛関係などでも有名なあるあるですが、介護の場合も全く同じです。そしてできればその時に、その市内の地図を広げてお話すると余計に食いついてもらえます。
私も小学生の息子が社会で使っていた地図をもらって、新規の方などとはよくそれを見ながらお話します。
けっこう詳しい昔話もして下さり、単純に興味深くて聴き入ってしまうこともしばしばです。
そうなってくると今度は逆に時間が足りなくなってきますので、没頭のし過ぎには注意してください!
回想法に取り組んでもらう
上記の地図もそうですが、体一つではさすがに限界がありますので、あとは小道具に頼りましょう!(笑)
おススメなのが『回想法』です。昔の色々な道具など懐かしい写真を印刷して語り合う、というものです。以下の記事でも紹介させていただいていますので、よかったらご覧ください。
これもハマればほんとに何時間でもいけます!
そしてこの回想法の素晴らしいところは、一対一でなく、大人数でも盛り上がれるところ!この「あけび」などではご利用者さま同士で自然と盛り上がることもしばしばで、逆に会話に入りづらくなっちゃうことも(笑)
どなたがどの写真が好きかも把握できれば、よりスムーズにその方の心に入り込むことも可能ですよ!
ちなみにこのような本が一冊手元にあると、回想法の進め方から実際の写真もたくさん載っていますのでお勧めです!


ことわざクイズに挑戦してもらう
そしてもうひとつおススメが『ことわざクイズ』です!詳しくはこちらも以下の記事で紹介していますのでよかったらご覧ください!


私もほんとうによくやりますが、皆さまのその回答がクリエイティブ過ぎて、ご本人さまもいっしょにその素敵な間違えにお腹を抱えて笑っています。
そう、これの本来の目的は、正解を出してもらうことだけではないのです。
まとめ
ことわざクイズに限らず、私たちがもっとも引き出すべきは・・・そう、
【ご利用者さまの笑顔!】
ともに笑い合うこと以上に、距離感を縮める近道はありません。
この記事が、全国の施設において笑顔を生み出すひとつのきっかけになれば幸せです。
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